瞬きをすると、私はまた自宅の居間で炬燵に足を入れて座っていた。
布団の下は、 ほかほかと温かい。その温かさに私はかえって混乱する。
確かにあの時飛び出したはずなのに。
はぁ、はぁ、と荒い息を落ち着かせて、それからじわりと浮かんでいた汗を拭って正面を見た。
先程と、違うことが2つだけあった。
四辺に仲良く向かい合って座っていた彼らが忽然と消えていること、そして。



「きくさん、ここもちがったの?」



あの少女が、私の正面で頬杖をついて座っていること。
ふんわりとしたワンピースを着た彼女が炬燵に入っている光景はミスマッチなようでとても似合う。
私は姿勢を正して、彼女をまっすぐと見据えた。

「菊、ではありません。私は日本、と申します」

ぴくり、と幼い体が震えた。
少女は頬杖を崩して、背筋を伸ばすようにぴしりと座り直した。
それから私の目を見つめたのだ。

ああ。