「……………………?」
気がつくと、私は雪の上に一人、仰向けに倒れていた。
しかし、冷たさは一切感じない。柔らかな雪の感触だけが伝わってくる。
ざし、ざし、ざし。
頭上から音が近づいてくる。横になったまま視線を上に向けると、
あの少女がまっすぐ私の頭上に立っている。
慌てて飛び起きた。
「きくさん、ここもちがうんですね」
「違う?あの」
「むずかしいなぁー」
「あの、寒くないですか?」
ひらひらしたワンピースに白いエプロン、といった出で立ちの彼女に問う。
すると、少女はにこりと笑って突然歌い始めた。
「らん、らん、らんらんらん、へいきですよ、らんらんらん、らん」
それからくるくると私の周りを陽気に歌いながら跳び跳ねるので、
落ち着かないなぁと思って彼女の手を掴んだ。
ぴた、と彼女はスキップと歌を止めて、ふふふ と笑い声を溢した。
「きくさん、きくさんは、」
少女のその先の言葉を聞くことなく、私の意識は途絶えた。
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